お知らせ
抱えていた若干困難な事件がようやく成功裡に終了し、少し余裕が生じたので、久しぶりにコラムを書きます。
とはいえ、大した内容ではありません。
弁護士が普段どのような仕事をやっているかというと、当たり前ですが弁護士によってそれぞれです。
依頼者の多くが企業・事業主である事務所の場合と、依頼者の多くが個人である事務所の場合では、受任事件も事務内容も大きく異なります。
当事務所はどちらかというと後者です。
まず、当然ながら、受任事件の全てが訴訟・調停案件ではないため、ずっと裁判所にいるわけではありません。
日によっては1日に2,3事件の期日が重なって一日中裁判所にいることもありますが、そんな日は月1回くらいです。
ではそれ以外の時間に何をしているかというと、多くの弁護士は事務所でひたすら書面を作成しています。
電話対応や依頼者との打合せや新規相談等が入ればそれに対応しますが、それ以外の時間は書面作成に充てることがほとんどだと思います。
というのも、比較的若手の私ですら、常に訴訟・調停を十数件~20件程度は抱えており、毎週書面の提出期限が来ます。幸い私は書面作成が全く苦ではないため、提出期限は基本的に遵守しています。
それ以外の例えば破産等の債務整理事件も、すべて代理人である弁護士が書類を作成して裁判所に提出します。
ほかに、交通事故などの示談交渉事件においても、基本的には書面と証拠により相手方(またはその代理人)を説得します。
そのため、ひとつ提出したらまた次の書面に取りかかって、ということの繰り返しになります。
たまに、弁護士は口喧嘩で相手を言い負かす仕事だと思われている方もいます。そのような場面もないとは言いませんが、実際はかなり少ないです。
基本的に、事実と法的主張(書面)と証拠に基づいて依頼者の法律上の権利を実現するのが弁護士の仕事だからです。
ただ、口頭で説得することが有効な場面も確かにあります。
過去に処理した事件で、反社会的勢力との繋がりが疑われる相手方に対して、面会を申し入れて今後依頼者に接触しないように誓約を取り付けたケースがあります。
このような事案は、書面を送付しても無視することが明らかで、埒が明かないだろうと予想されるため、直接の説得も一つの有効な手段となり得ます。
(もちろん、時と場所と同席者を慎重に設定する必要があり、説得が奏効しなければ裁判所の仮処分等を用いて対抗するほかありませんが・・・)
とはいえ、弁護士が”書面で勝負する”仕事であることには変わりはありません。
口は達者でも、書面を読むと”??”と感じてしまうようであれば、実力的に若干の不安を感じざるを得ません。
主張内容自体は大上段に構えて威勢が良いけども客観的な裏付けがほとんどない、という書面も裁判所の印象はいまひとつでしょう。
当事者本人の陳述書(言い分を書いて署名押印した書面)と当事者尋問のみで事実認定がされることはほとんどないからです。
余談ですが、ご自身が依頼した弁護士に「先生が提出した書面のコピーをいただけませんか」と頼んでみて、拒否するようであれば要注意です。
依頼者には言いづらいなにかがあると疑われるからです。
(なお、本当に余談ですが、ある受任事件で別の士業の委任契約書を見た際、依頼者へ報告書等を送る度に結構な料金が発生する条項があるのを見て仰天したことがあります。私にはそんな発想は全くなかったからです。)
逆に、見た目や話し方は穏やかでも、しっかりとした書面を書き、依頼者にもわかりやすく説明できる弁護士であれば、心配は要らないでしょう
それと、依頼者の主張の弱い点についてもズバッと的確に指摘する弁護士も、信頼して良いと思います。
依頼者の言い分を何のフィルターにも通さずにそのまま書き連ねたように思える書面もたまに見ますが、良い結果につながることは多くないでしょう。
そのほか、本来の業務以外に、委員会活動などの公益活動も行うのが弁護士業の特色ですが、機会があれば公益活動についても書く予定です。