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ごんどう
法律事務所

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お知らせ

2020-06-26 15:02:00

相談者・依頼者から、「裁判費用って高いのでしょうか?」と聞かれることがよくあります。

これに対しては、「事件の内容と経過によります」というなんとも味気ない回答にならざるを得ません。

一般論としては、弁護士費用より高額になることはあまりないと言えます。

 

通常の民事訴訟の場合、どの事件でも最低限必要な費用として、切手代と収入印紙代があります。

切手代はどの裁判所も、原告被告ともに1人の場合は5,000円とし、あとは当事者数の増加に応じて増額すると定めていると思います。

 

次に、原告が訴状に貼らなければならない収入印紙代ですが、これは「訴訟の目的の価額」に応じて法定されています。

「訴訟の目的」というのは、日常生活で使う「目的」とは少し異なり、「訴訟によって得ようとしている価値」のような意味です(多少不正確ですが)。法律家はこれを「訴訟物価額」と言ったりもします。民法の債権編に出てくる「債権の目的」という用語も似たような意味を持っています。

 

さて、肝心の収入印紙代ですが、これは訴訟物価額の1%程度を最大として、金額が多額になるにつれ順次逓減する金額と定められています。

(1%「程度」と書いたのは、「10万円までは1,000円、20万円までは2,000円」のように定められているため、例えば11万円の請求でも印紙代は2,000円となり、訴訟物価額の1%を超えてくるためです)

100万円の請求だと印紙代は1万円ですが、1,000万円の請求だと5万円といった具合に、段々と訴訟物価額に対する割合は少なくなっていきます。

5,000万円だと17万円となり、交通事故訴訟などを提起する場合、高額事案であっても請求内容は数千万円単位のことが大半であるため、弁護士業務で訴状に貼る印紙代も十数万円~二十数万円くらいが天井になってきます。

当然ながら、これらは弁護士費用とは全く別の実費ですので、着手金とは別途、依頼者にご負担いただく必要があります。

ということは、相場とかけ離れた金額を請求することはもちろん原告の自由なのですが、貼った収入印紙代のうち大部分は無駄になってしまう公算が高くなります。

 

ちなみに最近、本庶佑氏の訴訟提起がニュースで報じられていますが、それによれば小野薬品工業への請求額は約226億円とのことです。

訴訟物や請求原因が不明なため正確なことは言えませんが、単純に計算式に当てはめると収入印紙代だけで2,865万円にもなります(なお、日本の収入印紙の最高額は10万円です)。

家が建ってしまいますね。

仮に本庶佑氏が全面敗訴して控訴する場合(逆に小野薬品工業が全面敗訴して控訴する場合)は、この1.5倍額の収入印紙代が更に必要になります(上告の場合は2倍)。

 

なお、冒頭の「経過による」というのは、例えば専門家の鑑定が必要となった場合の報酬金の予納であったり、証人の旅費日当が生じる場合があるためです。

 

 

他方、家事事件(調停、審判)については、民事訴訟より圧倒的に低額に設定されています。

切手代は2~3千円程度、収入印紙代も数千円程度ということがほとんどです。

このあたりも、家事調停の利用のしやすさに一役買っていると思われます。