お知らせ
2019-03-09 16:55:00
離婚の相談を受ける際、たまに「公正証書を作るという方法を聞いたことがあるのですが、それはどうなんですか?」と聞かれることがあります。
たしかに、離婚とそれに関連する法律問題を解決する手段の一つとして、公正証書の作成はあり得ます。
ただ、公正証書は、作成自体は数十分で終わるものの、それにこぎ着けるまでが一苦労です。
公正証書の内容自体は、原則としてすべて当事者が決めてから公証役場に伝えないといけません。公証人が、内容に踏み込んで「こうした方が良い」というアドバイスはしません(明らかな誤りがない限り)。養育費をいくらにするか、財産分与として何を移転するのか、面会交流の方法をどうするのか、等といった事項を当事者間で合意してから、作成に赴く必要があります。そもそも相手方と合意ができなければ作成のしようがないということは、十分念頭に置く必要があります。
そのため、合意形成のために長々と(別居している場合は特に)当事者間で協議するよりも、家庭裁判所に調停を申し立てる方が妥当かつ早期の解決が図られる場合もあるでしょう。
かつ、調停で合意がまとまれば、最後に調停調書として裁判所が文書を作りますが、これは「確定判決と同一の効力を有する」と定められていて、公正証書よりも強力な文書です。
なお、「調停が成立したとしても、相手方が離婚届に判子を押してくれないときはどうしたらいいんですか?」と聞かれることもたまにあります。
これへの答えは、「相手方の判子はもう要りません。」です。
法律上は、調停成立日に離婚が成立したものと扱われるため、あとは10日以内に申立人が役所に調停調書を持って行くのみです。