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ごんどう法律事務所

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お知らせ

2018-12-05 09:32:00

弁護士の中核的な職務の一つとして、訴訟活動があります。

訴訟活動において弁護士が何をしているかについて、少し解説します(もしかしたら以前同じようなことを書いたかも知れませんが)

 

まず、言うまでもありませんが、勝訴判決(被告側なら請求棄却判決)を得ることが訴訟における原則的な目標です。「原則的な」というのは、事案によっては少々無理筋の場合になんとか和解に持ち込みたいという戦略もあり得るためです(但、あくまで例外的なものです)。

そして、その目標のために弁護士が何をするのかというと、メインは「事実」の「立証」です。

たまに誤解されている方もおられますが、法廷で相手方本人または代理人(もしくは裁判官)と口喧嘩して言い負かすのではありません。その意味で、一般の方が思われている「口が達者」というのは、弁護士の能力とは特に何も関係がないと言えるでしょう。和解の協議を詰めるにあたって、相手方を説得できる理屈を直ちに考える必要が生じる場面はありますが、それも当然、法的に納得しうる理論(理屈)に基づかないと意味がありません。

 

少し脇道にそれましたが、上記にいう「事実」とは真実という意味ではありません。「自分が裁判所に認めて欲しい事実」という程度に捉えてもらえば結構です。ですので、訴訟提起に至るまでの経緯を長々と書き連ねる必要もなければ、必要のない事実や相手方を利する事実をわざわざ言う必要もありません。

そして、民事訴訟には「当事者が主張しない事実を判決の基礎にしてはならない」という原理があるため、原告被告がある事実について共に勘違いをしている場合、原則として裁判所は間違いを正さないというのが建前です(現実にはかなり口出ししますが…)。

例えば、ある出来事が起こった日付につき原告被告双方が勘違いをしているが証拠上は正しい日付が顕れているという場合であっても、裁判所としては双方が勘違いしているその日付で事実認定をせざるを得ないということです。そのような意味で、民事訴訟においては、真実を追究するという機能や目的は後退するわけです。

また、請求を認めてもらうためにはどのような事実を立証すべきかということは法律上決まっています。そのため、法律上必要ではない事実についていくら立証しても、結論には何の影響もないばかりか、訴訟解決まで無駄に時間を要することになりかねません。訴訟の中で、「相手方がこんな酷いことを言ってきたから、こちらも倍にして言い返したい!」という気になるのはもっともですが、法律上の関連性がない限りそのような主張はやめておいた方が賢明です。

何を主張して、何を主張すべきでないかという判断(舵取り)をするのも、弁護士の重要な役割の一つです。

 

次に立証の話ですが、これは世間で思われているよりもそのハードルは高いと考えていただいた方がよいです。

ざっくり言えば、「誰もがその事実が存在したと確信できるだけの証拠」が必要です。「そういう事実があったかも知れない」という程度では全然足りません。

たとえ依頼者の記憶にある「真実」が確信に満ちたものであっても、それを支える証拠がないと、残念ながら裁判所を納得させることはできません。

逆の立場から見たら、被告は勝訴判決によって自分の財産を差押・強制執行され得るのですから、上記のような高いハードルはむしろ当然のことと言えるでしょう。

なお、手持ちの証拠だけでは必ずしも十分ではないものの、裁判所を通じてしかるべきところから文書等を出してもらえば立証が可能、という場合もあるため、証拠がないからといって最初から諦める必要もありません。弁護士が代理人として任意に文書提出をお願いしても出してもらえないが、裁判所からの要請だと結構すんなり出してくれる、という場合は少なくありません。もちろん、各官庁や会社等によって保管期限があるでしょうから、なるべく早く動いた方がいいのはもちろんです。

 

以上、タイトルとの関連性が薄い雑多な内容を書きましたが、時間があれば強制執行(権利の実現)について書きたいと思います。