取扱業務
・証券会社の担当者から、「この銘柄は必ず上がるのでかってほしい」と頼まれたが、その後次々に他の株式への投資も進められ、言われるままにどんどん投資してしまった。その結果、利益よりも手数料の方がはるかに高額になってしまった。
・「金はこれから必ず値上がりするから」と熱心に説得され、よくわからないまま「ロコロンドン金地金取引契約」なるものを結ばされたが、金の現物はもらっていないし、予想に反して値下がりしたため、多額の損失が発生した。
・「年10%の配当が10年間必ずもらえる」などと勧誘され契約したが、結果的に元本全てを失ってしまった。
・「Co2排出権取引に投資して儲けましょう!」と勧誘されて契約したが、何かと理由をつけて次々に証拠金の積み増しを要求され、また、「常に相場の潮目を読まないといけない」等と言われ、頻繁に売買を行わされた結果、手数料が膨大な金額になった。
これら金融商品・投資被害事件は、投資「まがい」商法で最初から詐欺目的であることもあれば、販売者が大手証券会社であることもあります。そして、証券会社は同一グループの銀行等と一緒に(銀行に対する消費者の信頼を基礎として)これらの金融商品を積極的に販売してきました。膨大な損害が発生しても、相手方が誰もが知る巨大企業であることから、多くの方は仕方ないと最初から諦めがちです。
しかし、現在では鳴りを潜めたものの、少し前まではいわゆる一流といわれる証券会社でさえ、ろくに商品の説明をせずに、「大口定期預金の利息よりたくさん儲かりますから」という営業文句とともに、為替デリバティブやオプション取引などを次々に結ばせることが少なくありませんでした。ノックインや早期償還条項(要するに顧客が得る利益を一定程度に限定するための安全弁です)について、その仕組みを理解して契約した方が果たしてどれほどいるでしょうか。また、そもそも契約の前にそれらの条項やリスクについて十分に説明を受けたでしょうか。金融機関や証券会社のなりふり構ってられない姿勢乃至経営状況が、特に高齢者を中心にした投資被害を生んでいるのです。
FX取引のリスクは、なんといってもその魅力ともいわれる「レバレッジ」にこそあります。現在、個人投資家に対するレバレッジ規制は25倍ですが、要するに自分の軍資金である証拠金の25倍の取引ができる反面、損失のリスクが25倍に膨れあがります。そのリスクの高さを上手くごまかして、メリットばかり強調されて契約した事案が非常に多く見られます。
また、近時はFX取引被害の主戦場はインターネット取引に移りました。総じて、派手な宣伝広告をしている業者ほど財政基盤が怪しいものです。通常、(何の取引でも構いませんが)初めて取引をする相手方が信用できるかどうかは、担当者の振る舞いや同業界での評判、さらには本社や工場等の箱がしっかりしているか、それなりに従業員がいるかなど、多くの外部的可視的情報により判断することが多いです。しかし、インターネット取引の特性として、相手方業者と直接会ったり電話で連絡を取り合って契約に至るということはまずないでしょう。多くの場合、入力とクリックだけで契約しているはずです。また、ネット上の情報のみでは、当該業者の真の信用力というのは一般人には到底判断できません。そうすると、結局は業者のホームページの外観やその記載内容を基礎にして判断せざるを得ないでしょう。
ですが、10年前ならばともかく、今ではほとんど労力も金をかけずに非常に立派なホームページを作ることが可能です。一流証券会社ホームページの体裁に似せて作ることは、悪徳業者にとっては造作もないことでしょう。ホームページの外観に惑わされて、多額の資金をつぎ込んだあげく、業者はろくなシステム基盤も財政基盤も持っておらず、ある日突然証拠金が引き出せなくなる、そんな被害に遭う方が多いです。
投信関連の旨い話は、当然のことながら裏があります。必然的に業者と顧客に利益相反(要するに、一方の得は必ず他方の損になる。Win-Winになりえない)が生じる取引などもってのほかですが、そうでなくても、客側ではなく業者側が儲ける仕組みについて目を光らせることが重要です。